はじめに
白波五人男は、石川五右衛門、鼠小僧と並ぶ日本屈指の盗賊が歌舞伎で演じられてきた。日本駄衛門を筆頭に、弁天小僧菊之輔、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の五人のことである。その中での、入れ墨が証拠となる場面がある。私自身、刺青に対するあまり認識がなく、いってしまえばマイナスのイメージを周囲からも感じることが多々ある。しかし、場によっては、私のように芸術の分野を学ぶ中で、今回刺青を芸術だと認識する場もある。このように、社会に存在する、刺青に対する社会認識と刺青としての芸術についての二つの批評を述べていく。
イレズミ
同じ身体に「彫る」という行為の中で「イレズミ」という呼び名には、様々な種類がある。
「入れ墨」は、江戸時代中期から犯罪者が罪を犯した罰として、使われた「入れ墨刑」からきているもので、犯罪者の証として入れていた。この、入れ墨は以後、身体の装飾を望む者との区別をつけるため、様々な表現をされてきた。
次に、「刺青」と表記されているものを述べる。「しせい」と読むことが正しく、芸術品として認知されるとともに、入れ墨の影の部分を払拭しようと表現された。作家・谷崎潤一郎が同名の小説...