1.はじめに
人は生まれたばかりの状態では、一人で何もすることが出来ない大変未熟な存在である。そのため、子どもが社会に適応して生活できるように、親や保育者が基本的生活習慣を指導する必要がある。本稿では、基本的生活習慣のうち食事、睡眠、排泄の習慣をしつける際に行う導入、繰り返し、習慣化について論じる。
2.食事の習慣
食習慣の獲得とは、スプーンや箸を使い大人の援助無しで食事をすることが可能になることである。
母乳が食事で母親に食事を依存していた子どもは、生後約6カ月たつと食物に興味や関心を示す。この頃は離乳食に移行する時期だが、大人が口元に食べ物を運び食べさせてやり、咀嚼や嚥下を目の前で示すなどの援助を要する。そして、やがては自ら食べようとする様子を示し、これは食事の習慣づけの導入の時期であり食事の自立への第一歩である。この食習慣の導入の最も重要な点は、子どもの成長・興味に合わせ、適切な時に適切な食事を与えることである。このことを怠るとその後の発達や食習慣の獲得に影響を及ぼすのである。
そして、自分で食べたいという欲求が生まれると手づかみを始め、年齢と共にスプーンや箸にも興味を...