「本テキストで述べる社会科授業の基本構造について説明し、平成20年版学習指導要領における社会科の教科目標との関連を考察しなさい。また基本構造に基づく社会科授業のあり方について、幾つかの理論に触れつつ具体的な授業事例を挙げて説明しなさい。」
始めに社会科授業の基本構造について述べるとする。社会科授業の基本構造はまず、「社会認識を通して市民的資質を形成する」という社会科教育の本質的目標を達成するために設計されていることが第一である。その市民的資質を形成するためには、社会認識内容を豊かに育成し、それを判断材料として価値判断をさせることが必要であり、社会科授業の基本構造はこれらを保障するものでなくてはならない。社会科は長く知識の詰め込み教科と言われてきたが、その理由は学習内容に不可欠な知識の構造を明示できなかったからである。
社会科の学習内容の構造は、まずカリキュラム全体が社会諸科学の蓄積してきた研究成果の構造性を踏まえていることが必要であり、その構造の一部が単元としての展開になるのが基本となるため、それらを体系的に配列し、学習している単元の位置づけが明確になるようにすることが重要である。し...