保存的治療
Ⅰ 薬物療法
1.降圧薬
1)カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)
(1)作用のしくみ
血管の平滑筋は、細胞外からのカルシウムイオン(Ca²+)の流入により収縮し、細胞内のCa²+濃度の低下によって拡張する。Ca拮抗薬は、収縮の際にCa²+の通り道となるCaチャンネルに結合して、細胞内へのCa²+の流入を抑えることで血管拡張作用を発揮する。
(2)適応疾患
適応疾患として、高血圧、労作狭心症、冠攣縮性狭心症、頻脈性不整脈などがある。
(3)副作用
Ca拮抗薬投与による副作用として、顔面紅潮、動悸、頭痛、眩暈。ジルチアゼムやベラバミルによる洞性徐脈、房室ブロックなどがあげられる。妊婦には催奇形性があるため禁忌となる。
2)ACE阻害薬およびアンギオテンシン(ATI)受容体拮抗薬
(1)作用のしくみ
本薬は、強力な昇圧作用をもつレニン-アンギオテンシン(reninangiotensin:RA)系を抑制する。RA系のアンギオテンシンⅡ(ATⅡ)は、ATⅠ受容体を介して、血管収縮、水やナトリウム貯留などの血圧上昇作用を行う。ATⅡは、その前駆物質であるATⅠからアンギオテンシン変換酵素(...