下行性運動経路
1)錐体路・錐体外路について
ⅰ)皮質脊髄路(図1参照):随意運動を支配
・この経路は下行性運動経路の代表的なもので、大脳皮質運動野(中心前回とその周囲)から起始し、脳幹に入る前に視床と大脳基底核との間の内包※と呼ばれる部位を通過して脊髄に至り、それぞれの運動神経に直接接続する。この間(大脳皮質運動野~脊髄)はシナプスを介さない。皮質脊髄路の線維は脳幹の腹側面の近くで一対の束となって走行し、この束が錐体に似ていることから、錐体路とも呼ばれている。人間ではこの軸索が1メートル以上もあるものも存在する。
・錐体路は内包を通過した後、脳幹に入る。ほとんどの線維はこの高さで反対側に交叉(錐体交叉)し、脊髄の後外側部(外側皮質脊髄路)を下行する。残りの少数の繊維は交叉せずに脊髄の前内側部(内側皮質脊髄路)を下行する。この少数の非交叉性の線維は、だいたい頚髄および胸髄までは延びているが、腰髄までは達していない。
錐体路の軸索のうち、直接運動ニューロンに終わるものはごく少数で、大多数は脊髄分節性介在ニューロンを介して脊髄運動ニューロンに作用する。この場合、運動野の特定部位から発した軸...