資料紹介

資料の原本内容

目的
排尿欲求の充足
安心で安楽な排尿
尿の観察
必要物品
①尿器，②尿器カバー,③防水布,④ちり紙，⑤綿毛布(タオルケット),⑥洗面器,湯,タオル(おしぼり），
⑦スクリーン(必要時)
ポイント
尿意があれば我慢させずにすぐに行う迅速性
患者が安心して安楽に排泄するための,手際よい動作と正確な手技,プライバシーの保護
注意点
体内に通じる尿道口,腟口の近くに用いるため,尿器は清潔なものを使用する.
１．必要物品の準備
●ガラス製の尿器は湯や蒸気で温める
○寒気や不快感を感じさせないため
２．必要物品を患者のもとへ運ぶ
●尿器は尿器カバーをかけ運ぶ
○尿器が他の人の目に触れるのを避けるため
３患者の準備
①患者に説明する
●目的,方法,手順など
○患者の不安を取り除き協力を得る
②スクリーンやカーテンをする
●ベッド周囲を囲むようにする
○プライバシーの保護
③患者に綿毛布をかけ,掛けもの(掛け布団,掛け毛布,掛けシーツなど)をはずす
●掛けものは,患者の足元で扇子折りにする
○排泄物による掛けものの汚染防止と掛けものに臭いがつかないようにするため
●綿毛布をかけたら,それ以後の作業は綿毛布の下で行う
④患者の両膝を曲げ、下肢を立てる
●足先を外側に向け,足底部はしっかりベッドを踏みしめるようにする
○足先を外側に向けることによって下肢が安定する
○ベッドを踏みしめるようにすると,足底に力が入り腹圧がかけやすくなる
⑤寝衣を腰の上まで上げ,下着をはずす
●患者に腰を上げてもらう
●寝衣と患者の腰の間に看護者の手を深く差し入れ,患者の腰を支えながら行う
●下着は看護者側の足の方をはずす
○下着が看護者側にあると,下着を汚染したり,作業がしにくい
●パジャマの場合は下着とズボンを一緒にはずす
４．防水布を敷く
●防水布の上端が腰の高さにくるように敷く
○防水布は排泄物で寝具が汚染されるのを防止するために便用する
○もし,排泄物が尿器外へ流れた場合.防水布を伝わって背部まで流れるのを防ぐために,防水布の上端を腰の位置にもってくる
５．上体を挙上する
●可能な範囲内で挙上する
○腹圧がかけやすい
○患者自身が尿器を持つ場合,持ちやすい
○上体を挙上すると陰部が下方に向き,尿器の受尿口の縁に密着する範囲が広くなるため,排尿しやすく,また尿がこぼれにくい
６．尿器をあてる
〈女性の場合〉
①受尿口の下縁を会陰部にぴったりあてる
②ちり紙を陰部にあてる
●ちり紙は2～3枚重ねたものを縦長に折り(2～4つ折り),恥骨から尿器内にたらす
○尿を誘導して尿が飛散するのを防いだり,排尿音を少しでも小さくするため
●ただしちり紙の下端は尿器の底につけない
○ちり紙の下端が尿器の底につくと,尿がちり紙を伝わって逆流し,膀胱炎などを起こす危険があるため
●ちり紙および尿器は患者が保持できれば患者が保持する.できない場合は,看護者が保持する
③両膝を合わせる
○尿の飛散を防ぐため
〈男性の場合〉陰茎部全体を受尿口に入れる
●尿器の受尿口の内側・外側をちり紙でおおう
○尿器による陰嚢,陰茎への刺激・冷感・不快感を与えないため
●自分でできる場合は患者自身が陰茎を入れる
７．尿器を保持(固定)する
●患者自身が保持できる場合は患者が行う
●息者自身ができなければ看護者が保持するか.砂嚢で固定する
８．ナースコール,ちり紙を患者の手元に置き退室する
●排尿が終了したら連絡するよう告げる
○プライバシーの保護
９．排尿終了後,尿器をはずす
１０．陰部,肛門部,殿部を拭く
●患者が自分で拭ける場合は患者が拭いてもよい
●看護者が拭く場合は手袋を使用し,拭き終わったらその手袋は取る
●女性の場合は尿道口から肛門に向かって拭く
○肛門部に付着した尿(大腸菌)が膣口や尿道口に付着し感染するのを防ぐため
●必要があれば蒸しタオルなどで拭く
○ちり紙でよく拭き取れなかったりして尿が付着していると,皮膚の炎症の原因となるため
１１．取りはずした尿器に尿器カバーをかける
●尿器の蓋があれば蓋もする
○防臭と患者の羞恥心への配慮
１２．防水布を取り除く
１３．患者の寝衣,体位,寝具,ベッド周囲を整える
●下着をつける
●掛けものをかけ,綿毛布を取り除く
１４．患者の手を洗う
●温かいおしぼりでもよい
１５．スクリーンやカーテンを取り除き,換気をする
●室内に臭いが残る場合は防臭剤や芳香剤を使用してもよい
○防臭のため
○臭いによる患者の不快感,羞恥心への配慮
１６．患者の排泄状態,一般状態を観察する
●排尿時の苦痛・疼痛の有無,残尿感の有無,満足感など
１７．使用物品を持ち退室する
１８．後片づけ
①排泄物を観察する
●量,色,臭い,混濁,混入物など
②排泄物を始末し尿器を洗浄,消毒する
●消毒はグルタラール,グルコン酸クロルヘキシジン,次亜塩素酸ナトリウムなどを用いる
●尿器洗浄消毒器があればそれを使用する
③尿器架台にかける
１９．記録報告
●時刻
●尿の状態(量,色,臭い,混濁,混入物など)
●患者の状態(排尿時の苦痛,・疼痛の有無,残尿感の有無,満足感など)
※医療事故やニアミスを防ぐためのポイント
1)発生しやすいところはどこか
①尿器のキズによる皮膚の損傷
②尿器からの感染
2)発生をどのように防ぐか
①キズのない尿器の使用
②確実な尿器の洗浄・消毒・乾燥
③患者に創がある場合は創部の保護
④使用後(排泄後)の患者,看護者の手洗いの励行
3)発生したときにはどう対処するか①症状の早期発見
②感染症の診断
③患者,家族への説明
④治療,ケアによる症状の改善
⑤事故報告
尿器による援助
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