『「気付き」の階層と「気付き」の質が高まる過程について、テキストに示された実践例にふれて述べなさい。』
1.生活科における「気付き」
(1)「気付き」とは
「気付き」は、生活科独自の観点であることからもわかるように、生活科では、新設当初から気付きという観点を大切にしてきた。気付きとは、対象に対して一人一人の児童の内側に生じる認識あるいはその萌芽である。それは、教師からのトップダウンで与えられる受動的なものではなく、児童の主体的な活動によって生まれるものである。したがって気付きには、知的な側面ばかりではなく情意的な側面も含まれることになる。また、気付きは、次の段階へ向けての自発的な活動を誘発するものになる。このように一概に気付きといってもいくつかの種類があり、また、知的なものにも、情緒的なものにも、認識の深まりや対象の広がりに違いがある。
とりわけ生活科では、気付きの内容として「自然に関する気付き」、「身近な人や社会に関する気付き」、「自分自身に関する気付き」の3つを重視している。ただし、小学校低学年の認知特性を踏まえるならば、それらは必ずしも別々の気付きではなく、「自然についての気付き...