「EU統合はそこに暮らす人々、ひいては世界の人々の幸福にどのような貢献を果たすと考えられるか。またそれがもつジレンマとは何か。もっとも基本的な目的と具体的な発現状況を要約して述べよ。」
ヨーロッパは20世紀まで世界における経済・政治の中心であったが、二度の世界大戦の主な戦場となったがために、大戦後は敗戦国のドイツ、イタリアはもとより戦勝国の英国、フランスなども国家再建が極めて難しい状態になり、経済や国土は疲弊し、その座はアメリカや旧ソビエト連邦へと移ることとなった。そればかりか西ヨーロッパ諸国は戦後復興の為にアメリカからの援助が不可欠となり、さらにソ連が東・南ヨーロッパで社会主義化を推し進めた結果、ヨーロッパを舞台とした東西対立が起こり、戦後はソ連を中心とする社会主義陣営と超大国アメリカとの狭間に立たされることになる。
1947年6月にはアメリカが「マーシャルプラン」を発表する。これはアメリカによるヨーロッパ支援案であったが、実体は伝統的なイスラムの脅威に加えソ連の共産主義の脅威がヨーロッパ全体に及んでいた事を考慮した軍事・政治的判断によるものであった。そしてこれによりOEEC(欧州経...