機能材料の微細組織と特性の変化の観察
1 実験目的
材料特性の全ては、材料を構成している原子や結晶構造、および組織によって支配されている。つまり、原子・電子レベルの微視的観点から材料物性を問いただすことで、根本的理解のみならず、新たな機能を持った材料開発にもつながってくる。本実験においては、上記の概念を念頭に置きながら、工業的に材料改質の面から重要なマルテンサイト変態に注目し、鋼および形状記憶合金において、熱処理による材料の微細構造および機械的性質の変化の様子を、組織観察と硬度試験により評価し、両者の相関関係について検討する。
2 実験手順
金属顕微鏡による組織観察と、機械的性質の評価
(1)試験片として6種類(S15C,S45C,SK4の各種を焼鈍したものと焼き入れしたものの、計6種類)を用いた。焼き入れに関しては、電気炉の中で900℃・15分保持によって行った。焼き入れ後、S15C,S45Cについては、水冷を、SK4については油冷をした。このとき、試片が冷媒の蒸気に包まれ、冷却能力が落ちることを防ぐために、試片を冷媒中に素早く入れると同時に、よく攪拌した。
(2)上で得た計...