第1設題『象徴機能の発生について説明せよ。また、教育との関連で大切な点を説明しなさい。』
象徴機能とは、ものごとや出来事を何らかの記号に置き換えて、それが目の前に存在しないときにも記号によって認識する機能である。そして「物が目の前から消えてなくなっても、それは存在している」という認識を「ものの永続性」という。例えば大人が夕方沈む太陽を見て、それが目の前からなくなっても、その太陽はこの世界から永遠になくなったとは考えず、明朝また東から昇ってくることを知っている。この心が「ものの永続性」である。
子どもは、生後7ヶ月から8ヶ月にして、すでにこの能力を獲得する。幼い子どもが、母親の姿が見えなくなると母親を求めて泣くのは、この「目の前から消えてなくなっても、それはなくなったものではない」という認識が成立して初めて可能なのである。「ものの永続性」の能力を獲得した子どもは、その後1年ほどの間に「表象能力」を成立させる。今、目の前にない物事についても頭に思い浮かべ、自分で実際に行動しなくてもその様子を頭に思い描く。つまり、具体的な知覚体験をもとに自分なりにイメージを構成し、それを利用して時・場所...