心不全についての概要をまとめたもの
心不全
1、病理
心不全とは…心臓の収縮性の低下あるいは心臓への血液の流入障害により、身体 の需要に見合った血液を駆出できなくなった状態であると定義される。しかし、実際の心不全症状は、心拍出量の低下そのものよりは、それに対する生体の代償機序の結果に基づいている。代償機序にはFrank-Starling機序、交感神経の賦活化、レニン・アンジオテンシン・アルドステロンの賦活化などであるが、これらの代償機序は必ずしも生体にとって合目的的ではなく、しばしば悪循環を形成して心不全を増悪する。
Frank-Starling機序…Frank-Starling機序は拡張終期容量、さらには拡張終期圧を上昇することによって心拍出量を増やそうとする機序であるが、その結果として心室充満圧は上昇し、肺うっ血や体うっ血を招来し、呼吸困難・労作時息切れ、あるいは肝腫大・浮腫などの心不全の主たる症状の原因となる。
交感神経の緊張…交感神経の緊張は、心収縮を高め、心拍数を増すことによって低下した心拍出量を代償するが、交感神経の緊張はさらに末梢血管を収縮し、後負荷を高め...