H19年第二問進化生物学解答例

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    資料紹介

    【合格済み】東京大学大学院学際情報学府入試

    資料の原本内容

    H19年 第二問 進化生物学解答例
     賛成である。

     生物の進化は、ウィルソンにより提唱された概念である包括的適応度をより上昇させる形質や行動を示す個体が、より多くの子孫を残して自然選択されることにより生じる。

     人間は直立二足歩行のため骨盤が変形しており、非常に未熟な子を産むため他の哺乳類、特に霊長類の中においてもとりわけ長期間の手厚い保護が必要となる。そのため強固な母子関係を示す個体が子孫を残すことができる。つまり母子関係が包括的適応度を上昇させていると言え、このようにして人間は母子の結び付きをより強いものに発達させてきたと考えられる。

     一方で人間は寿命が長く、記憶力が良く、同一個体との関係を長期に渡って保持する生物である。このことから助け合いや貸し借りなどの社会的行動を示すようになり、集団内の個体の適応度を上昇させてきた。これらの行動におけるフリーライダー排除のための心理機構がコスミデスらにより示されており、進化の過程でこのような社会的行動を発達させてきたことは明らかである。

     ここで、社会的行動は次世代の再生産に直接的には関わらないが、母子関係は大きな影響を直接及ぼしていることに注目する。次世代の再生産は生物にとって最も重要な要素であるため強力な淘汰圧がかかっていると考えられる。以上より人間の生態の中でも、他の社会行動に比べて母子の結びつきが最も重要で改変不可能であると言える。

    (576文字)

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