民法Ⅲ 分冊1
債務者が、その有する財産権を行使せず、また積極的に財産の減少行為をするときは、債権者の利益を害することになる。そこで、民法は一定の条件の下で、債務者の一般財産保全のため債権者に、その債権の範囲内において債務者の財産権を代位行使しうる権利、あるいは債務者がなした財産減少行為を取り消して離脱した財産を取り戻す権利を与えている。
例えば、AがBに金銭を100万円貸し付けており、BがCに200万円貸し付けているとする。BにはCに対する代金債権以外にAへの債務を弁済できるだけの資力がないにも関わらず、BがCに債権を請求しないときはAの債権の回収が危うくなる。このような場合に、Aが直接Cに対してBの持っている債権を行使できるとしたのが民法423条の債権者代位権である。債権者代位権を行使するには、①債務者が無資力であること②代位行使される債権を債務者自らが行使していないこと③被保全債権は金銭債権であり、履行期が到来していること④代位行使される権利が一身専属の権利でないことの以上が必要とされる。
しかし、③に関しては、金銭債権以外の保全が認められる不動産登記請求権や、弁済期が到来して...