本稿では、はじめに経済外交とは何かについて、次に戦後日本の経済外交の展開と限界について検討したい。
まず、経済外交の概念についてであるが、この意味は、経済的側面での諸外国との交渉活動のことである。この経済外交は経済的目的と外交的目的の2つに分類される。前者は、石油確保のための中東と親和的政策を取ること、後者は北朝鮮の実戦的攻撃の際に経済制裁を加えミサイル発射を中止せざるを得ない状況を作ることなどである。
旧来の世界では、第二次世界大戦までの時代には軍事力によって、相手国を制圧または攻撃を抑止することが最も有効な手段であった。しかし、大戦後に米ソ冷戦が終結すると、軍事力の重要性が以前よりは薄れ、また石油ショックなどにより経済的な諸課題が国際的に主要な問題になっていった。
第二次世界大戦以降の日本は、経済復興策として吉田茂首相が作った「吉田ドクトリン」の路線が現在まで長く続いている。この方針は、アメリカとの同盟関係を強固に築くことで、安全保障をし、自国の防衛費を浮かせ、こうして生まれた余剰費用を経済発展のために使う政策方針である。戦後の経済復興が急務であった敗戦後の日本にとっては、合理的な...