私にとって「アーサー王とその騎士たち」で最も印象に残った騎士は、なんといっても花形の湖の騎士・ラーンスロットである。
騎士として充分な才能を持ち、容姿は抜群、男性からも惚れられるような相手である。たとえそれが世間的に許されない関係であっても、自分を喜ばせる為に、戦いに次々と勝ち進んでゆく姿を見せられたら、悪く思う女性はいないだろう。そして自分の危機も救ってくれ、最後まで自分だけを愛してくれる、まさに白馬の王子のような存在である。最も私が実際王妃ギニヴィアの立場だったとしたとして、恋愛関係にまで踏み込む勇気があるかどうかは別の問題だが、女性からしたらこの上ない相手であろう。
この物語に登場するたくさんの騎士の中で、アーサー王をしのぐ程人々に慕われたラーンスロット。それだけの人物であるならば、アーサー王から彼女を奪ってしまう事もできるのにとも思うが、簡単に離婚するなんてご法度の封建時代の物語である。そんな時代背景だからこそ、美しく、そして悲劇物語として伝えられたと考えられる。
又、この物語を読んで、一番人間臭い葛藤が描かれていたと感じたのはガウェインである。そして、アーサー王が...