論証:取締役会決議を欠いた代表取締役の取引行為の有効性

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    論証:取締役会決議を欠いた代表取締役の取引行為の有効性
    問題提起 取締役会決議を欠いた代表取締役の取引行為の効力をいかに解すべきか。 反対説 この点、判例は、内部的意思決定を欠いている点で心裡留保(民法93条ただし書き)に類似する状態が認められるとして、原則有効であるが、相手方が決議を経ていないことを知りまたは知りうべかりしときにはには無効としている。 批判 しかし、代表取締役は、会社に取引行為の効果を帰属させる意図で取引しているのであるから、内心的効果意思と表示上の効果意思は一致しており、心裡留保類似の関係があるとは認められない。 理由 そもそも、代表取締役は会社の代表権を有しており(349条4項)、また取締役会の決議は内部的意思決定の手続にすぎないのであるから、その手続を欠いたとしても代表取締役の行為の効力に影響はないと考えるべきである。もっとも、相手方が悪意である場合、相手方が権利を主張することは信義則(民法1条2項)に反する。 結論 したがって、取締役会決議を欠いた代表取締役の取引行為は、原則として有効であるが、相手方が悪意である場合には、会社は一般悪意の抗弁をもって権利行使を拒否できると考える。

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