花王は24期連続増収・増益を達成した日本屈指の優良企業である。その強さはEVAの採用等を挙げているが、具体的にどうなっているのか検証していく。
0.概要
花王は1887年創業の老舗で、これまで石鹸などの日用品を中心に販売を行ってきた。しかし、2005年のカネボウ化粧品の買収を境に化粧品販売に力を注いでおり、現在では化粧品(ビューティーケア)事業が企業全体の売上の46.2%を占めるまでに成長している。
また、花王は2006年3月期まで『24期連続増収増益』という超優良企業として知られてきた。その経営方針の特徴の1つにEVA®の採用がよく取り上げられている。EVA®については資本コストの計算が複雑であったりするため、他の企業では公表されていないことが多い。したがって、同業他社とはそのほかの指標を用いて比較を行っていく。同業他社には業界最大手の資生堂を使用する。本稿では、EVA®を含めた指標の検討を中心に管理会計の観点から、花王の強さについて管理会計の視点より考察していきたい。
まず第1章では、業界各社の組織構造と販売戦略について検証を行う。特に資生堂のカンパニー制の廃止について注意する。次に第2章では、花王のEVA®について検証を行う。第3章では、化粧品業界各社の業績評価指標についての検証を行う。
1.化粧品業界各社の組...