ルブランの愛したフランス

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    ルブランの愛したフランス

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    Written by Koshiro
    1.モーリス・ルブランと対象地域
     シャーロック・ホームズを生み出したイギリスのコナン・ドイル(1859-1930)と並び、西欧の2大推理小説家と称されるのが、アルセーヌ・ルパンを生んだフランスのモーリス・ルブラン(1864-1941)である。
    ルブランは本論の対象地域の1つでもあるノルマンディー地方の都市ルーアンに生まれた。その後の経歴は省略するが、1905年に彼は人生の転機となる作品を発表する。それが「ルパン逮捕される」であり、今日まで耳にする「ルパン」シリーズの記念すべき第1作目となった。結局ルブランは長短併せて50作品以上のシリーズを生み出したが、その中には、推理小説の枠に収まらない、冒険小説や恋愛小説といった趣のあるものも存在する。しかし彼の作品では、実在する景観を巧みに織り交ぜている点で共通しており、彼のフランスに対する強い愛国心が垣間見える点もまた然りである。
    そこで、以下では、景観を生かした作品として名高い2作―「奇巌城」と「三十棺桶島」より、ルブランの故郷でもあるノルマンディーとフランスでも異色の地域として知られるブルターニュにつ...

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