不良債権とは、銀行などの金融機関が、事業を行っている会社などに貸したのに、約束どおりの利息を払ってもらえなくなったり、返してもらえなくなったりした貸出金のことである。銀行にとってみれば、貸出金は資産にあたるので、不良債権は利益を生まなくなった資産ということになる。
では、銀行がもっている債権のうち、不良債権の範囲はどこまでなのであろうか?
銀行の債権には、「銀行法に基づいたリスク管理債権」、「銀行の自己査定により分別した債権」、「金融再生法による開示債権」の三種類がある。そのうちどこまでを不良債権とするかには、それぞれ基準の違いがある。一般的に経済ニュースで報道されるのは、「自己査定」に基づく債権で、これは銀行が自ら調べ、自ら査定した不良債権である。この自己査定においては、貸した相手が、経営状態や貸出金の返済状況などによって「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先・破綻先」の五つに分けられている。日本を含め主要先進国では、要管理先・破綻懸念先、実質破綻先・破綻先への貸出金を不良債権としている。
不良債権について
はじめに
ここ1,2年、新聞やニュースで毎日見かける「不良債権」という言葉。授業で、「金融機関が貸出し、回収不能となった資金のこと」と習ったが、定義はともかく、実際のところ、不良債権が原因で生ずる様々な問題については、よく理解できなかった。
何故、不良債権がこんなにも発生して、大きな問題となってしまったのか。これは、金融機関だけの責任なのか。また、その処理があまり進まず、いつまでも手間取っているのは、どうしてなのか。「回収不能」とは、どういうことなのか。単純に、無理矢理にでも資金を回収して、倒産する企業は倒産させてしまうのでは、いけないのだろうか。
日本は今、重苦しい雰囲気に包まれている。不景気で、「景気を良くするため」と言って発行された国債は、膨大な額となっている。不良債権が解消されないため、公的資金を投入したにも関わらず、銀行は相変わらず元気がない。この不景気と不良債権も、複雑に絡み合っている。小泉内閣の方針は、不良債権が景気回復の邪魔となっていると考え、景気回復よりも不良債権処理を優先させるというものだ。これは果たして、うまくいくのだろう...