平成20年度に小学校学習指導要領が公示され、その中で小学校理科の目標に「実感を伴った」という文言が加わった。本レポートでは「実感を伴った理科」とはどのようなことかについて、自身の経験も交えて論ずる。またこの目標を達成するための具体的な指導方法の工夫や留意点を述べる。
まず、文言が加わった背景について論じる。「改善の基本方針」の一番目に「理科については、その課題を踏まえ、小・中・高等学校を通じ、発達の段階に応じて、子どもたちが知的好奇心や探究心をもって、自然に親しみ、目的意識をもった観察・実験を行うことにより、科学的に調べる能力や態度を育てるとともに、科学的な見方や考え方を養うことができるように改善を図る。」と示された。
これまでも「実感」は大切にされてきた。しかし、子ども達をとりまく環境の変化により、大都市でなくとも、子供達の自然体験の機会はますます貧困なものになっていっているといえよう。
自然を愛する心情を育てる、問題解決の能力を育成する、科学的な見方や考え方を養うには、「実感を伴った理解」を図ることが必要だと考えられた。実際の教育現場でこの事を反映させるためにも、目標の中に加わっ...