法源の意義と種類について論じなさい。
法源とは、 「法の存在形式」である。(p32)法律の淵源であり、 きわめて多義的に用いられている概念であるが、 一般的には、 法による裁判が要請されるシステムの下で、 裁判官が判決を正当化するに当たり、 その判断基準となるべき規範が法源なのである。
自力救済や私的制裁を回避して公平な判断を行うためには、 裁判所の機能に対する信頼が重要である。 自力救済とは、 自分で自分の権利を守るための救済や回復を図ることであり、 私的制裁とは、 法によらず私人が勝手に加える制裁であり、 被害者が加害者に対して過剰なまでのペナルティーの付加をかけてしまうことである。 もし裁判所の判断に信頼が置けないようであれば、 人々は野蛮な自力救済や私的制裁へと回帰する可能性があり、 そうした人間の恣意専断に左右される「人による裁判」を回避して、 「法による裁判」を行うためにも、 裁判所が法に基づき判決を下すことが重要になる。 この「正しさ・法を媒介したもの」こそが法源なのであり、 従って裁判システムに対する信頼は、 この法源を明らかにすることと密接に関連しているのである。...