【序論】
新しい知識を獲得したり、新しい行動パターンを獲得することを学習という。特に、新しい行動パターン(動作)を学習することを技能学習(skill learning)という。特徴は知覚―運動学習(perceptual-motor learning)で、目で見たものに合わせて身体の動きを組み立てる、知覚と運動が協応していることである。また、非言語的学習でもあり、やっている間に知らないうちにできるようになることがある。
我々が新しく学習する場合、なんらかの過去経験の影響を受けるとされている。以前の学習や練習が、後の学習や練習になんらかの影響を与えることを学習あるいは練習の転移(transfer of learning or training)と呼ぶ。例えば、スケートの経験がある人は、スキーの新たな習得が容易であることがある。また、運動に限らず、英語を既に学んだ人がフランス語を学ぶとき、フランス語を初めての外国語として学ぶ人に比べるとずっと容易に習得できることも考えられる。このように、先に学習したり練習したことが後の学習に促進的に作用する場合、正の転移(positive transfer)...