オスキー②
【脳梗塞】
脳梗塞の種類は、心原性脳梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞・その他の4つに分類する。
アテローム血栓性脳梗塞:脂質が動脈内膜に蓄積してアテローム硬化を起こし、内膜の肥厚によって血管が狭窄し、さらに血栓形成によって閉塞状態になる。血圧低下により閉鎖状況は厳しさを増す。アテローム硬化が自壊して血中に遊離し、塞栓を引き起こす。
心原性脳梗塞:心弁膜症・心房細動などの疾患のため心臓内に血栓が生じ、それが遊離して脳血管を閉鎖する状態。脳血栓と比較して、主幹動脈の閉塞が大きく、死亡率や機能予後は不良。
ラクナ梗塞:副側路をもたない終動脈穿通枝の閉塞によっておこるもの。・
脳卒中の障害象
意識障害
急性期には、脳損傷自体や脳浮腫、抗痙攣剤の投与などにより意識障害を呈すことが多い。広範囲の病巣や脳幹損傷では遷延性に意識障害が持続するので能力回復に時間がかかる。
精神機能低下
損傷の部位やラクナ梗塞により器質的な変化に加え、急性期には通過症候群として精神機能低下する。長期間の活動低下により二次的にも生じる。
運動麻痺
各筋を独立して動かすことができない。一定のパターン化した動きしかできなき共同運動、非麻痺肢の運動やあくび、咳などに伴って起こる麻痺肢の不随意運動(連合反応)頭部の位置や姿勢の変化により筋緊張の分布が変化する姿勢反射、筋緊張低下や痙性・固縮といった筋緊張異常などの複合的な症状として出現。
感覚障害
感覚は触覚・痛覚・温度覚といった表在感覚・位置覚・振動覚の深部感覚に分けられる。脳損傷では半身の障害として現れる。
高次機能障害
失語・失認・失行・注意障害が現れる。
関節可動域
上肢では手指・肘関節屈曲拘縮、肩関節屈曲制限、
下肢では股関節伸展・内旋制限、膝関節屈曲拘縮、足関節背屈制限、足指屈曲拘縮
肩関節亜脱臼・肩手症候群
筋緊張低下・筋緊張の不均衡により肩関節亜脱臼が生じやすくなる。肩と手の痛みと腫脹を主症状とする反射性交感神経性ジストロフィー(肩手症候群)を起こすこともある。
リハビリ評価
Ⅰ.急性期
1.機能・構造制限
カルテから診断名、発症日、既往歴、リハに影響する合併症、医学的管理情報、、入院時の意識障害の程度、精神学的所見
モニタリングの確認(心泊数・血圧、呼吸状態SPO₂など)
意識障害の程度
2.能力障害
日常生活動作
「できる・している」の両面から評価重要
3.参加制約
家屋状況 ②家族構成 ③経済状況
Ⅱ.回復期
機能・構造障害
麻痺の回復程度
筋緊張やそれ伴うROM
非麻痺側の筋力
バランス能力
活動制限
歩行能力(歩容、スピード、耐久性)
「している」ADL
応用動作(階段昇降、床からの立ち上がり)
参加制約
物理的環境
人的介護力
【高血圧症】
高血圧の原因
本態性高血圧症(1次性高血圧症)
基礎疾患(腎性・内分泌性など)に起因する
二次性高血圧症
遺伝子因子を基盤とし、塩分摂取・過食・運動不足・ストレスなどの環境因子が引き金となって発症する
≪生活習慣の改善≫
①食事は7g以下の減塩や肥満者の減量や適切体重の維持の実施。アルコールは男性で酒1合、女性は2/3号以下。
②高脂血症の合併を防ぐためコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を避ける
③運動療法は降圧効果がある。ただし、運動療法開始時には心血管病の有無を確認する。
④喫煙は虚血性心疾患や脳卒中の危険因子で、禁煙を行う。
⑤生活習慣の改善は患者の自覚が必要で行動変化に対する患者教育が必須である。
血圧値の分類
アンダーソンの中止基準 訓練実施のための全身状態基準 (七肥) Ⅰ. 訓練を行なわないほうがよい場合 1. 安静時脈拍数120/分以上 2. 拡張期血圧120mmHg以上 3. 収縮期血圧200mmHg以上 4. 労作狭心症を現在有するもの 5. 新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの 6. うっ血性心不全の所見の明らかなもの 7. 心房細動以外の著しい不整脈 8. 訓練前すでに動悸、息切れのあるもの Ⅱ. 途中で訓練を中止する場合 1. 訓練中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合 2. 訓練中、脈拍140/分をこえた場合 3. 訓練中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈 (心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合 4. 訓練中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合 Ⅲ. 次の場合は訓練を一時中止し、回復を待って再開する 1. 脈拍数が運動前の30%を越えた場合、ただし、2分間の安静で10%以下に もどらぬ場合は、以後の訓練は中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える 2. 脈拍数が120/分を越えた場合 3. 1分間10回以下の期外収縮が出現した場合 4. 軽い動悸、息切れを訴えた場合
リハ評価
患者背景
年齢・性別・伸長・体重・嗜好品・運動習慣・食習慣・自覚症状の有無・家族歴
危険因子
①肥満
②高脂血症
③糖尿病
④心疾患の有無
一般臨床検査
①尿・生化学検査
②胸部X線
③心雑音
④心電図
服薬状況
服用している薬の作用・副作用の確認
【糖尿病】
糖尿病とは、何らかの原因でインスリンの分泌量低下や能力低下、作用する組織の問題などが起こり、慢性的に高血糖状態を示すもので、糖質および脂質、蛋白質などの代謝異常障害を伴う疾患。
糖尿病のタイプとしては、膵臓のβ細胞が自己免疫疾患やウイルスによって破壊される1型糖尿病と加齢や日常の生活習慣の乱れ(食べ過ぎ・運動不足・ストレス・アルコールの多飲)が誘因となって発症する2型糖尿病。 高血糖症状が長期化すると三大合併症(神経障害・糖尿病性網膜症・腎症)がおこる。
医学的所見
①胸部X線写真:心肥大の有無
②神経機能障害:深部腱反射・感覚検査
③神経伝達速度:上肢→尺骨・正中神経
下肢→脛骨・腓骨神経
④自律神経機能検査:心電図・起立負荷試験・尿流量計・エレクチオメーター
⑤眼底検査:網膜症の有無
⑥下肢血流検査(API)
リハ評価
問診
①自覚症状
②既往歴
③家族歴
④日常生活内容
⑤身長・体重:BMI(体重kg/身長cm²)
⑥食事:食生活・嗜好・間食の有無
運動・生活の評価
①行動分析
②運動習慣(強度・時間・運動量)
③運動機能(可動域・筋力)
医学的治療の確認
物療法:経口薬・インスリン注射
※HbA₁c、血糖値、尿中糖に注意する。理学療法実施上の問題としてインシュリン注射の患者の低血糖発作に注意する。運動療法中に気分不良や冷汗が見られた時はすぐに血糖測定を行う。頻回に低血糖発作がみられる場合は食後に早い時間に実施したり、実施時に補食を持参してもらう。
脳梗塞症例
・中大脳動脈の閉鎖部位より
運動機能:反対側の片麻痺
高次脳機能:意識障害、左の損傷で失語・失認・失行
その他:感覚障害・同名半盲
構音障害
…発音が正しくできない症状
構音障害の原因
1.器質性構音障害 - 音声器官における形態上の異状により引き起こされる発音上の障害。
2.運動障害性構音障害 - 音声器官の運動機能障害による発話の障害。
3.聴覚性構音障害 - 聴覚の障害による二次的な発音上の障害。
4.機能性構音障害 - 上記のような医学的原因の認められない本態性の発音の障害。
・左半側空間無視(USN)…さまざまな刺激に対する反応や行動に際して、要素的な感覚・運動障害もたらすのに、大脳病巣の反対側に与えられた刺激に気付かず反応しない状態。
服用薬
・バファリン(抗血小板薬)
作用:血栓・塞栓形成抑制
副作用:胃痛、腹痛、吐き気、食欲不振、胃潰瘍、蕁麻疹、発疹、喘息、出血傾向
・ニューロタン(降圧薬)
作用:体の血管が広がり、また水分や電解質が調整されて、血圧が下がる。
副作用:だるさ、めまい、ふらつき、立ちくらみ、低血圧、頭痛、動悸、吐き気、腹痛、味覚異常、咳、発疹、かゆみ
・エパデールカプセル(抗血小板薬)
作用:血小板の働きをおさえて、血液が血管内で固まるのを防ぎます。
副作用:皮下出血、胃の不快感、吐き気 、肝機能値の異常 、発疹、かゆみ
・メコバマイド(ビタミンB12)
作用:細胞の発育や機能を正常にたもつのに必要です。とくに、葉酸とともに、血液をつくるのに欠かせません。また、神経の働きにも重要な役わりをしています
副作用:胃の不快感、吐き気、食欲不振
・テルネリン(筋緊張緩和剤)
作用:筋肉を緊張させている神経をしずめる働き、筋肉の血流を改善
副作用:血圧低下、眠気、頭痛、ふらつき、脱力感、だるい、食欲不振、吐き気、口の渇き、
発疹、かゆみ
・エチゾラム(精神安定剤)
作用:気分をリラックスさせ、不安や緊張感をやわらげ、寝つきをよくする働き
副作用:眠気、ボーッとする、注意力・集中力低下、頭が重い感じ 、ふらつき、めまい、けん怠感、脱力、まぶたが下がる 、生理不順、乳汁分泌、 長期連用で効き目が悪くなる
・ダオニール(血糖降下薬)
作用:血糖値を下げる働き
副作用:低血糖、震え、寒気、動悸、冷や汗、強い空腹感
・カマグ(緩下剤)
作用:腸内に水分を引き寄せ、便を軟化増大させます。その刺激で腸の運動が活発にな...