キリシタン資料から見る室町時代の国語について

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    資料紹介

    国語学演習で扱った資料です。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     室町時代の国語研究をする上で見逃せないのが、我が国に進出したイエズス会の西洋人の手による日本語の学術研究の結果、独特の内容を持ったキリシタン文献を多数残したことである。
     信徒の日本人向け日本語版には、カトリック教の重要な概念を示す語に対して、原語であるラテン語・ポルトガル語などをそのまま用いたものもあるが、翻訳によって日本語表現が拡大されていった。
     外国人宣教師が習得すべき日本語の基本的な二面性には、日本人信者の告白を一通り理解するために必要な通常の話し言葉を知ることと、説教や普及活動の展開に必要な日本語を巧みに操る方法があった。これらの基本理念に基づき、話し言葉のテキストとなる会話書・日本人が慣れ親しんだ古典の口語訳・西洋文学書の口語による翻訳作成・総合的研究の文典及び辞書を編集したのである。
     キリシタン資料である『コンテムツスムンヂ』には、ローマ字本と国字本がある。ローマ字本は原著の忠実な翻訳によるが、国字本は一般信者用に改編されたものであり、修道者や司祭向けの記述は削除されている。ローマ字本の訳文は漢語的で硬い印象を受けるが、国字本は洋語・仏教語を避けて表現は平易である。...

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