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本稿では、家庭科における調理実習の位置づけと指導のあり方について意見をまとめる。
調理実習の目的は、日常的に手に入りやすい食品を使って簡単な調理ができる程度の技能を身に付け、児童が自身の生活に楽しみを伴って活かせるようになることである。
特に近年では、生活経験の乏しさや生活技能の低下した子どもが増えているといわれる。この背景には、女性の社会進出や核家族化によって、従来は世代間で伝達されてきた調理を含めた生活技術の伝達機能が低下した可能性がある。資料①によると子育て世代の労働時間の増加が見られる。また、家族の団らんの場である夕食を家族そろってとる頻度も減少している。これらの資料か想像できることは、現代の子どもたちは、外食が多く自宅で親が料理を作っている様子を見たり、一緒に作ったりする機会は少ない様子が伺える。例えば、お母さんが夕方に煮物が煮る音がし、味噌汁の煮える香りがする、また出来上がった品数豊富な料理を大家族で囲むなどはもはや昭和の遺産と化しているのである。
また、これと同時に資料②の通り、朝食の個食化が進んでいる。個食とは、家族で食卓を囲んで食事を取らず、個人個人の都合よいタイミ...