ガラスの特性とガラス細工によるスポイトの作成法についてのレポートです。参考文献は学校の実験テキストなのでレポートの参考にはし辛いと思いますが「ガラスの特性を知る」という上で問題はないと思います。
1. ガラスについて
ガラスはとSiO2を主成分とする非晶質の固体である。ガラスは組成の違いから、石英ガラス、パイレックスガラス、硬質ガラス、軟質ガラスなどに分類され、それぞれの特性に応じた利用がされている。
石英ガラスはSiO2のみから成るガラスであり、膨張係数が最も小さく、温度変化による破損を起こしにくいが、加工温度が1700~1800℃と高いこと、高価であることから、特殊な実験器具のみに用いられる。そのため、ビーカーやフラスコなどの実験器具として、パイレックスガラスが用いられることが多い。これは、膨張係数が石英ガラスについで小さいため、1000℃程度で加工が可能であるためである。硬質ガラスも同様に理化学器具に用いられている。これに対し、軟質ガラスは加工温度が最も低く、バーナーでの加工が最も容易なガラスである。そのため、ガラス管を用いたガラス細工には軟質ガラスが用いられる。
これらのガラスは、前述の性質の他に、いくつかの共通の性質を持っており、この性質はしばしばガラスの利用、加工に用いられる。(表1)
表1. ガラスの性質
性 質 利用における長所 熱に強い 化学薬品に侵されない 耐圧力が大きい 透明である 加工における長所 熱可塑性がある 張力に弱い 熱の不良導体である 短所 ひずみができやすい
このように、ガラスは強度(利用における長所)と応用性(加工における長所)の両方を備えた、非常に利便性の高い素材であるため、ガラスは実験器具に多く用いられている。中でもガラス管を用いたガラス細工は、実験装置の組み立てには欠かすことの出来ない操作である。
ガラス細工に用いられる加工法には、ガラス管を任意の長さに切り取る切断法、ガラス管の端を熔融し、細管を引き出す軸出し、息を吹き込むことにより小球を作る玉吹き、ガラス管を任意の角度に曲げる軟化曲げ、熔融曲げなどが挙げられる。
切断法である手折法、焼玉法は、加工における長所が有効に利用されている。これらの方法には、張力に弱いという性質が利用されている。手折法ではガラス管にヤスリ傷をつけ、その傷に張力が働くようにガラス管を押しながら引っ張ることで、焼玉法では、ヤスリ傷の一部に赤熱したガラス小球を押し当てることで、ヤスリ傷に強い張力を働かせ、非常に容易にガラスを切断することが可能である。
しかし、ガラスはひずみが出来やすいという短所も持っている。ひずみとは、ガラスの表面と内側の間に大きな張力が生じている状態である。これは、ガラスが熱により膨張するという性質による。ガラスを融解し、空気中で自然に冷却したとき、ガラスの表面は急激に冷却され固化するが、内部は高温状態のまま残る。こののち、内部が冷却され収縮しようとするが、固化した表面は体積を保とうとするために生じるものである。
ひずみのあるガラス器具はわずかな衝撃でも壊れやすいため、このようなガラス器具を実験に用いるのは非常に危険である。市販のガラス器具には必ず除ひずみ操作が行われているが、実験に際して自ら加工したガラス管、ガラス器具のひずみを完全に除去することは出来ないため、これらの器具を扱うときは、できるだけひずみの部分に負荷をかけない扱い方を考慮することが必要である。
2. スポイトの作成法
[所要器具]
ガラス管 適宜
平ヤスリ 1本
ガスバーナー
[手順]
手折法を用いてガラス管を25 cm程度に切断した。ガラス管を回転させながら、中心よりやや端をガスバーナーの炎の先端部で熱し、ガラスが熔融してきたら炎から取り出し、冷えて固化する間際に引っ張り軸出しを行い、なだらかに細くなった管を作成した。(図1)
この管を切り離し細いほうの端を閉じ、逆の端から8~10 cm程度の部分を、ガラス管を回転させながら均等に加熱し、ガラスが十分に赤熱させ、肉寄せを行い、炎から取り出し、ガラスが熔融している間に吹きを入れ、球をつくり、液溜めをつけた。(図2)閉じた部分をわずかに切断して開き、液の吸い取り口とした。逆の端の切り口を炎に当てて溶融し、角を取った。(図3)
図1. スポイトの作成手順①
図2. スポイトの作成手順②
図3. スポイトの完成図
3. 参考文献
有機化学実験テキスト p4-p9
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