本実験は、酢酸エチルを溶媒とした、安息香酸、フェノール、アニリン、ニトロベンゼン混合物からの抽出による各成分の単離、予備試験を基とした、単離された各成分のTLCによる確認を目的とする。
[諸言]
●クロマトグラフィーについて
●酸・塩基に対する反応性の違いによる成分の分離について
[実験]
●関連物質の物性
●使用器具
●実験操作
[結果]
●Rf値の算出
[考察]
●抽出の精度に関する考察
[参考文献]
[諸言]
合成反応を用いて物質を合成する際、目的物だけが純粋に生成することは極めてまれな例であり、常に複数の副生物の生成、未反応の原料の残留などが発生する。したがって、合成後に目的物のみを分離する必要がある。しかし分離操作にはどのような混合物にもそのまま応用できるような一般的な方法は存在しないため、未知の試料を取り扱う際は、十分な予備試験を行い、成分の検討をつけたのちに適当な分離計画を立てて分離を行うことが必要である。
このための分離技術として、濾過、蒸留、抽出、クロマトグラフィー、反応性の違いを利用する方法などが挙げられる。反応性の違いによる分離法は、ある試薬に対する反応性の差異を利用することで、目的物質を抽出によって選択的に分離する方法である。
分離計画を設計するにあたって必要な成分推定の方法、分離操作ののち、分離の程度を判断する方法としては、クロマトグラフィーが用いられる。
クロマトグラフィーとは、ある物質混合物(移動相)が溶液、または気体の状態で多孔性の媒体(固定相)の層を通過していく間に、吸着、分配などの現象を経て相互に分離される方法である。このとき、固定相が固相であれば分離...