自我は社会的発達の過程において多くの他者や集団や社会の価値・規範・役割期待などを取得するが、その結果、それぞれの他者・集団・社会に対する複数の「~としての自分」と、それぞれの他者・集団・社会と共通する観点・一般化された他者の観点を獲得する。個人はそれぞれの状況に応じて一定の社会的役割を果たすことによって自分の自我を確認し検証していく。こういった自我の発達を踏まえた上で、エリクソンの発達段階説を参考にしながら児童期と学童期の子どもの指導のあり方について考察する。
児童期には、「自発性」対「罪悪感」という要素が対立する。自発性とは、他からの強制ではなく自分の内的要求によって行われることである。児童期の子どもを指導する上で大切なのが、この自発性であり、すなわち、他からの強制(強い影響)からではなく、自分から進んで行うことである。自我ということを考えるなら、自我が自分の行動の中心になること、または自我を中心として自分が行動できることを重要視しなければならない。
そして、この自発性がうまく育たなければ、対立する要素である罪悪感を生むことになる。児童期には、「こんなことがしたい」と子どもから...