アートの他領域への介入

閲覧数1,565
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     アート(art)という言葉は「芸術」という意味であると同時に「美術」という意味も示す。このことからも、芸術といえばまず連想されるものは美術であるようだといえるが、人がそこに美的価値を見出せるのであれば、どんなものでも芸術に成りうる。さらにいうと、この「アート」という言葉は、そのまま「美的価値」という言葉に置き換えられるのではないかと思う。さて今日、このような「アート」とされるものと、そうでないもの(たとえば「娯楽」)との境は、次第になくなりつつある。アートがそうでないものの領域に介入し、そうでないものがアートの要素を取り入れる。ここでは、そのようなアートの他領域への介入について考えてみたいと思う。
     まずは、テレビゲームについて考えてみよう。昭和50年、日本で初のテレビゲーム『テレビテニス』が発売され、84年にはファミコン(ファミリーコンピュータ)の大ブームがおこった。この時、なぜファミコンが売れたのかというと、当時ファミコンを買った人達は「ゲームが面白いから。」と答えた。しかし考えてみると、ドンキーコングも、マリオも、ロードランナーも、他機種でも遊べるものであった。それがなぜファミコンのみ大ヒットとなったかというと、それらのゲームを、他機種が成しえなかった綺麗なグラフィックで表現してみせた技術があってこそなのである。
     さて、この頃と比べると、現代のゲームは圧倒的に進歩していることは周知の事実であるが、実はその進歩というのは、ゲーム性についてではなく、大部分はグラフィック、つまり「アート」についてなのである。今、ファミコンのゲームをプレイしてみても、はっきりいって面白いものは面白い。しかし、その映像を見れば、ファミコンのソフトだということは簡単に分かる。それほど現代とは差があるのだ。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    アートの他領域への介入
     アート(art)という言葉は「芸術」という意味であると同時に「美術」という意味も示す。このことからも、芸術といえばまず連想されるものは美術であるようだといえるが、人がそこに美的価値を見出せるのであれば、どんなものでも芸術に成りうる。さらにいうと、この「アート」という言葉は、そのまま「美的価値」という言葉に置き換えられるのではないかと思う。さて今日、このような「アート」とされるものと、そうでないもの(たとえば「娯楽」)との境は、次第になくなりつつある。アートがそうでないものの領域に介入し、そうでないものがアートの要素を取り入れる。ここでは、そのようなアートの他領域への介入について考えてみたいと思う。
     まずは、テレビゲームについて考えてみよう。昭和50年、日本で初のテレビゲーム『テレビテニス』が発売され、84年にはファミコン(ファミリーコンピュータ)の大ブームがおこった。この時、なぜファミコンが売れたのかというと、当時ファミコンを買った人達は「ゲームが面白いから。」と答えた。しかし考えてみると、ドンキーコングも、マリオも、ロードランナーも、他機種でも遊べるもので...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。