ワークライフバランスの罠
「道を知る前は 木を切り水を運ぶ
道を知った後は 木を切り水を運ぶ」 ―老子―
「書く前にインスピレーションの訪れるのを待っているとしたら、あなたは書く人ではなく待つひとだ」 ―作者不詳―
例えば今、波間を漂うヨットに乗っているとする。太陽の光が降り注ぎ、爽やかな風が流れ、彼方にはカリブ海の島々が浮かんでいる。
この陽光あふれるのどかな風景の中で、はたして私たちは仕事の話をするだろうか? いや、しないだろう。
不思議な名前の異国の街で、一晩中踊り明かした時のはなしならするかもしれない。家族の話や、青春時代の夢の話をすることもあるだろう。長く話しているうちに親密な空気が出来上がれば、心地よい海風に誘われて、つらい恋の思い出を語りだしたりもするだろう。拒絶され、傷付いた心、そしてそれが癒されるまでのつらい日々。さらには、かつての信念、現在の意見、かなえられた望み、かなえられなかった夢・・・さまざまな事を話すだろう。
しかし、仕事の話はしない!!
実際のところ、仕事の場で人生のハイライトを経験するひとはほとんどいない。なぜだろう?フロイトによれ...