日本の福祉制度は他の多くの社会制度と同様に、明治以前のわが国独自の発展過程、明治以降の西洋化の影響、そして太平洋戦争後の民主主義社会の中で、そのときどきの政治経済に影響を受けて発展してきた。「現代社会における福祉制度の概念」は、その背景としての歴史を理解し、どのような過程を経て現在の福祉制度が形成されてきたことを考察することで、その大枠が理解できるものと思う。この考えに立脚して、以下に日本の社会福祉制度の発展の歴史を概観し、その到達点としてある現代の社会福祉の制度の底流にある概念について述べる。
日本の社会福祉制度の歴史は6世紀頃の各種の仏教的慈善にまで溯ることができるとされる。少数の公的救済...