(1)教科書を活用し、教科書を超える授業
教科書は、子どもたちが共通して使うことのできる最も身近にあるリソースである。教科書は、子どもの興味がわくように、イラストや写真などを入れ、分かりやすく工夫してつくられている。教師は授業において、この教科書という便利なツールを十分に活用しない手はない。
しかし、学校現場の多くの研究授業では、「教科書を使う授業は見栄えが良くない」「教師の授業の工夫が足りないように見られる」などという、おかしな価値観があるようである。「よい教師は、教科書など使わずに自作のプリントや教材を使う」と公言する先生もいるくらいである。また、教科書を使うというと「教科書べったりの授業ではないか」「教科書をなぞっただけの授業ではないのか」といった批判的な意見もある。
しかし、本当に教科書を使うことを軽視してよいのだろうか。よい先生は、教科書は使ったうえで、自作教材などを工夫して、より深い理解や高いレベルに子どもを導く教師ではないだろうか。
教科書を使わずに、教材、教具などを教師が自分で工夫した授業は、一見教師の努力の甲斐が見られ、視点も真新しいものとなる。しかし、子どもにとって...