?中小企業と金融
中小企業の不利な立場は、金融においても「金融の2重構造」において示されている。これは典型的には、貸出金利の格差、顧客としての差別的な位置づけなどに現れている。都市銀行は、高度成長開始期において、中小企業向け貸し出し比率は約半分だったが、系列製造大企業の連続的な設備投資が展開される中で系列融資を強め、中小企業への貸し出し比率を低下させていった。地方銀行も都市銀行の系列支配が強まる中、同様に中小銀行への貸し出し比率を低下させていった。どちらの銀行も中小企業に対する貸出金利は大企業に比べ高い。中小企業への融資に関しては歩積み、両建てなどの実質金利差別を押し付けることが一般に見られた。中小企業は高度成長の中で、近代化競争に遅れをとらないために設備投資を連続的に展開することを強制された。そして、規模拡大の中で生産量、取引量を増大させて、旺盛な資金需要を作り出した。これに応えたのが、信用組合、信用金庫、相互銀行などの民間中小企業専門金融機関であった。これらの金融機関は、金融部門の中小企業、中小経営といえるものであるが、一般の中小企業の成長増大を背景に近代化し、規模を拡大させていった。この発展の中で、組合員密着、地域密着、相互扶助という本来の性格を希薄化させ規模拡大を自己目的化したり、普通銀行への志向を強めるものも現れるようになった。その他に、政府系中小企業専門金融機関(国民金融公庫や中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫など)により、中小企業事業団による特別貸付や各自治体の中小企業金融支援策が展開された。
?中小企業政策
1963年に中小企業基本法が制定された。その背景には、戦後の経済民主化の流れを引き継ぐとともに、大企業との二重構造の解消という課題があり、最終的には諸格差の是正、中小企業労働者の地位の向上を目標にかかげていた。中小企業政策は大きく分けて4つに分類される。
中小企業論レポート
①中小企業と金融
中小企業の不利な立場は、金融においても「金融の2重構造」において示されている。これは典型的には、貸出金利の格差、顧客としての差別的な位置づけなどに現れている。都市銀行は、高度成長開始期において、中小企業向け貸し出し比率は約半分だったが、系列製造大企業の連続的な設備投資が展開される中で系列融資を強め、中小企業への貸し出し比率を低下させていった。地方銀行も都市銀行の系列支配が強まる中、同様に中小銀行への貸し出し比率を低下させていった。どちらの銀行も中小企業に対する貸出金利は大企業に比べ高い。中小企業への融資に関しては歩積み、両建てなどの実質金利差別を押し付けることが一般に見られた。中小企業は高度成長の中で、近代化競争に遅れをとらないために設備投資を連続的に展開することを強制された。そして、規模拡大の中で生産量、取引量を増大させて、旺盛な資金需要を作り出した。これに応えたのが、信用組合、信用金庫、相互銀行などの民間中小企業専門金融機関であった。これらの金融機関は、金融部門の中小企業、中小経営といえるものであるが、一般の中小企業の成長増大を背景に近代化し...