第1章 序論
MOSトランジスタは、集積回路産業の中で重要な役割を果たしている。
MOSトランジスタの歴史は古く、バイポーラトランジスタより前に発明されている。実際、電界効果トランジスタの基本原理はJ.E.Lilienfeldによって1930年に考案され、現在のMOSトランジスタの構造はO.Heilによって1935年に考案されている。しかしながら材料の問題により実用化できなかった。この間、バイポーラトランジスタが発明され、MOS構造は長い間注目されなかった。
材料の問題が解決し、MOSトランジスタが実用化に至ったのは1960年代に入ってからのことである。初期は、nチャネルもしくはpチャネル一種類のトランジスタで構成された回路が主流であった。その後、nチャネルとpチャネルのMOSトランジスタを同時に搭載するCMOS(Complementary MOS)構成の回路が使われ始めた。CMOS回路は低消費電力化に有効である。CMOS回路は、製造工程が複雑であるためあまり利用されなかったが、製造技術の進歩により問題が解決され、現在では主としてCMOS回路が使われている。
最近ではLSIの集積度が年々向上しているため、LSI設計技術者は大規模回路の消費電力をいかに下げるかという問題に直面するようになってきた。近年のLSIシステム設計においてCOMS回路技術が重要となってきている。
MOSトランジスタの電気的動作を研究するためにMOSトランジスタのシミュレーションが広く行なわれているが、その結果を詳細に解析するためには、シミュレーション結果の可視化が必要である。
本研究では、シミュレーション結果をグラフィック表示するシステムを構築し、MOSトランジスタの実際のシミュレーション結果を表示し、MOSトランジスタの動作解析を行なった。
グラフィクス表示システムの構築と
半導体内部状態描写への適用
目次
第1章 序論
第2章 MOSトランジスタ構造と内部状態
2-1 MOSトランジスタの構造
2-2 MOSトランジスタの動作
第3章 AVSの概要とシステム構成
3-1 はじめに
3-2 AVS/Express Developerの概要
3-3 可視化の手順
第4章 シミュレーション結果の可視化
4-1 入力データ形式
4-2 等高線描画用ネットワーク作成
4-3 シミュレーション結果の表示
第5章 シミュレーション結果の考察
第6章 結論
参考文献
謝辞
第1章 序論
MOSトランジスタは、集積回路産業の中で重要な役割を果たしている。
MOSトランジスタの歴史は古く、バイポーラトランジスタより前に発明されている。実際、電界効果トランジスタの基本原理はJ.E.Lilienfeldによって1930年に考案され、現在のMOSトランジスタの構造はO.Heilによって1935年に考案されている。しかしながら材料の問題により実用化できなかった。この間、バイポーラトランジスタが発明され、M...