残留兵の存在を知って
この映画は元残留兵、奥村和一の過去と現在を提示する。彼が戦争に巻き込まれ人の命を奪ってしまったという過去。そしてその過去を見つめて亡くなった人を想い、自責の念にかられながら一瞬一瞬を一生懸命生きている現在。彼の人生がこのドキュメンタリー映画には凝縮されていると感じた。 まず率直な感想は、戦争が終わったにもかかわらず一部の兵士が自分達の軍がひきいて中国との戦争に勝つために4年間も戦っていた事実を知って、正直驚いた。この残留兵士の話は少しだけ聞いたことがあるけれど、実際どのようなことをし、どのような運命を辿っていたのかは全く知らなかったので、かなり勉強になった。改めて自分の歴史認識の浅さを実感した。この映画は戦争の実態を知らない多くの若い世代の人間に、見てもらいたいなと思うような内容である。
この映画の主人公は、軍人恩給請求訴訟の原告のひとり奥村和一さん。奥村さんらが敗戦後も山西省に残留し国民党の一翼として中国共産軍と戦うことを余儀なくされた背景に何があったのか、さらに踏み込んで自身を「殺人者」に仕立てた戦争を改めて問い掛ける内容。靖国神社に...