日本政治の選択肢
-転換点としての対中ODA政策-
序論:
近年、中国は日本に対して軍事的脅威を与える大国としての印象を強めてきたように感じられる。北京オリンピックを背景とした急激な経済発展と平行して年々軍備費は著しく増加し、軍備は凄まじい勢いで増強されている。その軍事的脅威は日本にも様々な形で影響を及ぼし、対中国の政治問題だけではなく、憲法第9条改憲論争を始めとした、現在の日本政治の転換点として表れているとも考えられる。
この中国の軍事化を加速させた要因として、日本の対中ODA政策を挙げる主張は根強い。中国の軍事費が前年比10%以上もの伸びを見せてもろくな議論もされずに提供された盲目的なODAが、本来のODAの目的を外れた軍事費の増額に使われたとされているためだ。つまり、この主張を参考にすると、今まで日本が行ってきた対中ODA政策は日本と中国の友好を深めるどころか、かえって軍事化によって溝を深め、中国に関する諸問題と現在の日本政治の転換点を発生させているということになる。
それでは、そのような結果に陥らないために日本がとるべきであった対中ODA政策とは、どのようなものであったのだろう...