賃貸借と相続
問題
A男とB女は、40年以上前に知り合い、親密になったことから、Cから家を借り、契約上の賃借人をAとし、賃借の支払いは共同でおこなってきた。同居して生活費も出し合い、ABがそれぞれ失業した際にも、お互いに扶養し合うなどして、ほとんど家族同然の暮らしをしてきた。Aには、ほとんど付き合いの無い甥Dがいるのみで、他に相続人はいない。AとBは、互いに死亡した場合に、他方が相続人となることを話し合っていたが、遺言書などを作成しないまま、Aは死亡した。Bはこの家に住み続け、また、Aの遺産の一部でも取得したいと考えている。Bはどのような法的主張が可能か。2つ以上の法律構成を示せ。
解答
1 Bが家に住み続ける方法
本問における賃貸借契約(民601条)の当事者は、Bではなく、Aである。よって、Bは本件家屋の賃借権を持っていないため、Aの死亡後、この家に住むことはできない。
そこで、まず、Aの死亡によってBが本件家屋の賃借権を相続することができるかを検討する。
AとBは内縁関係に類似した関係である。内縁とは、婚姻の意思をもって共同生活をしているが、法律上の婚姻の届出の無い男女関係を...