失業率、鉱工業生産指数等の公式経済統計から2009年6月の日本経済の状態を分析
日本経済論
~データから日本経済の現状を読み解く~
1.はじめに
2007年のサブプライムローン問題に端を発し、エネルギー・原材料価格の高騰、2008年の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの事実上の破綻により現在の世界的な景気後退が顕在化した。
これにより、日本はエネルギー・原材料価格高騰に伴うコストの増加、株価低迷に伴う企業の業績の圧迫、外需依存の高い産業は円高と諸外国の消費意欲の低下により企業の多くが打撃を受けた。それに伴い、人員削減、賃下げにより家計の所得が減り、国内の消費意欲も低下した。
そのため、企業は価格下げで、消費喚起に動いているが、それにより更に収益を悪化により、
デフレ・スパイラルが懸念されている。その一方で、日本政府は「景気底打ち」を宣言した。
本稿では、企業、政府、海外の4つの主体の中の企業に着目して、政府が発表する統計を元に景気底打ちの是非を論じていく。
2.生産
図1 鉱工業生産指数 出所:「鉱工業生産動向」
図2 機械受注額(民需船舶・電力を除く) 出所「機械受注統計」
まず、ものづくり国家である日本において重要な製造業の生産に目を向けてみたい。
図1より...