『学力低下とは何かを明らかにし、社会層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べよ』
一般的に社会全体で認知されている「学力低下」と「社会的不平等と学力」との関わりあいについて述べていきたいが、まず始めに、前者の「学力低下」について詳細に述べていきたい。 学力低下といっても、まず何が基準で低下と判断するのかが大きな問題となってくる。テストで100点を取れなかったからといって学力低下にはならないだろうし、その特徴から述べていきたい。今日、学力低下の議論と異質な言葉がある。「インセンティブ・ディバイド」という言葉が小堀圭一郎氏によって指摘されている。この言葉の意味は何かというと、新しい世代の学力が前の世代の学力に及ばない、縮小再生産の過程が始まったのではないかという疑念があるところに、根本的かつ深刻な問題があるのであると言っている。こういった疑念のさらに根本にあるのは、「学ぶ」、「勉強する」ということに対する価値付けの低下が問題である。つまり、表面的な現象としての学力低下よりも、この学ぶことへの価値付け低下が問題である。これについては苅谷剛彦は「インセンティブ・デ...