青年期の依存

閲覧数4,769
ダウンロード数13
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1.はじめに
    青年期における恋愛の役割というのは、大変重要なものである。この時期における恋愛は、青年が成長する大切な契機であり、恋愛を通して人間的に成長するための重要な経験であり、Havighurst,R.J.(1943)も青年期の発達課題に異性との深い関係を挙げている。また青年期の恋愛関係は親子関係からの依存-分離-独立という、乳幼児期からの親密な関係性の変化の中においても位置づけることができる。Hazan&Zeifman(1994)の調査によると、青年期までにおいて親密な関係の対象が、親から友人・恋人へ移行していくことを見出している。これらのことを踏まえれば、青年期の恋愛および恋愛関係とは、他者を自ら選択して親密な対人関係を形成していく過程であるといえ、そのような過程を経験することによって、心理的離乳や、アイデンティティの確立といった青年期における発達課題を達成する契機のひとつになると考えられる。
    また、このような時期の中で、青年たちは恋愛によってどんな問題や障害にも打ち勝つことができるという恋愛のパワーを信じたり(和田,1994)、恋愛によって精神性、生活、人生の質的な向上が起こるととらえていることが明らかにされている(上野,2004)。このように恋愛によって自身がより向上できると感じたり、異性との交際を通して互いを認め、信頼し合うことで安らぎや安心感を得たりするというように、恋愛をポジティブなものとして捉える人がいる反面、異性と対人関係を持つことに対し極端に高い不安を持ったり(富重,2000)、異性に過度に依存し相手に自分の自我が取り込まれるような嗜癖的な恋愛関係を作ってしまう場合もあるとされている。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    青年期の依存の問題―恋愛依存―
    はじめに
    青年期における恋愛の役割というのは、大変重要なものである。この時期における恋愛は、青年が成長する大切な契機であり、恋愛を通して人間的に成長するための重要な経験であり、Havighurst,R.J.(1943)も青年期の発達課題に異性との深い関係を挙げている。また青年期の恋愛関係は親子関係からの依存-分離-独立という、乳幼児期からの親密な関係性の変化の中においても位置づけることができる。Hazan&Zeifman(1994)の調査によると、青年期までにおいて親密な関係の対象が、親から友人・恋人へ移行していくことを見出している。これらのことを踏まえれば、青年期の恋愛および恋愛関係とは、他者を自ら選択して親密な対人関係を形成していく過程であるといえ、そのような過程を経験することによって、心理的離乳や、アイデンティティの確立といった青年期における発達課題を達成する契機のひとつになると考えられる(図1)。  また、このような時期の中で、青年たちは恋愛によってどんな問題や障害にも打ち勝つことができるという恋愛のパワーを信じたり(和田,1994)、恋愛によっ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。