「戦後の社会福祉の展開と今日の課題について述べよ」
Ⅰ.はじめに
近年、我が国は世界的にも類を見ない速さで高齢化が進んでいる。総務省のまとめによると2008年9月現在、65歳以上の高齢者率は22.1%となり、その人口は全人口の2819万人にもなり、75歳以上は初めて1割を超え、14歳以下の人口は1718万人と少子高齢化傾向が顕著になり、少子高齢・人口減少社会が始まり、すでに高齢社会となっている。
その、現実を受け止め、超高齢化社会での国の運営・仕組み・暮らし方・社会福祉を変えていかなければならないという新しい場面に直面しているのである。その社会福祉の戦後の展開と、今日の課題について述べていきたい。
Ⅱ.戦後の社会福祉の展開
1.戦後社会福祉制度の確立期(戦後~1950年代)
第二次世界大戦後、敗戦国である日本は敗戦直後の混乱した社会情勢のもとにおいて、戦災で両親を失った孤児、引き揚げ孤児などが、「生きるため」に物乞いをし、また金品を盗むなどの不良行為を繰り返していたため、浮浪児対策は緊急課題であった。
また、母子・障害者・復員軍人等の生活能力を失った人々の困窮も深刻で、日本はGHQ...