日本仏教史第1設題

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    日本仏教史

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    『奈良時代の仏教の特質を論ぜよ。』
    本論では、いわゆる大化の改新以降の仏教を扱い、仏教が鎮護国家を中核に据えていった過程と、南都六宗の繁栄、最澄・空海による天台・真言両宗の成立に至る平安初期までの仏教思想の発展について述べる。

    まずは仏教が鎮護国家の思想のもとで発展していく過程について述べる。鎮護国家とは、仏教には国家を守護し、安定させる力があるとする思想のことである。この思想は『仁王経』や『金光明経』などに説かれ、これらの経典を供養することによって国家が守護されるとされていた。律令中心の中央集権国家体制が確立していく中で、仏教は、一方では国家の手で保護・育成され、また国家の行事に採用されていくが、他方ではそれにともなって国家の統制を受けるようになっていく。僧侶は、国家の庇護のもとで祈祷などをする一方で、僧尼令によって民衆に対して自由に教化することを禁じられていた。これは宗教者の民衆教化の力が国家権力と別個の社会的勢力に発展することを警戒されていたからである。この時代に生きた行基は関西地方を中心に貧民救済・治水・架橋などの社会事業に活動したが、この僧尼令に違反したとして弾圧された。こ...

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