民法答案1 不法行為・使用者責任・債務不履行
問題
A建設会社の従業員Bは、Aの建設現場で働いていた。その際、仕事の段取りのことで同僚C(同じくAの従業員)と言い争いになり、Cを殴って負傷させた。Cが受けた損害は治療費、入院費、慰謝料などで総額550万円になった。
(1) この事例におけるABCの法律関係について説明しなさい。
(2) 上の事例における事実関係において、AとCが話し合い、Aがこの損害のうちの300万円を賠償し、残額についてはCは賠償請求しないことにした。このような場合におけるABC間の法律関係を説明しなさい。
知識まとめ
① 不法行為における使用者責任(民715)
被用者が第三者に損害を加えた場合、それが「事業の執行について」なされたものである限り、使用者自らその責任を負う(民715参照)。
この制度の根底には、報償責任と危険責任の考え方がある。前者は「利益の存するところに損失をも帰せしめる」というものであり、使用者が他人を使用して企業活動の範囲を広げた分、その責任は使用者に帰するべきであるという考えである。他方、後者は危険源を支配する立場にある者が責任を負うという考...