1.目的
電子の電荷と比電荷を定常磁場中における電子の運動の偏向を利用して測定する。
ここで用いる方法は、簡単な実験装置と初歩的な理論によってその近似値を求めるこ
とができ、目に見えない素粒子の運動を間接的に見ることができる。
2.原理
磁場中(磁束密度 B)を速度 v で運動する電子(電荷を-e にする)に働く力は、
となることは、様々な実験で確認されている。この力 Fは v と B に垂直であり、v⊥B
の場合には、その大きさは F=evB である。このちからのため電子は、加速度をうける。
この加速度は、速度に垂直のため、速度の大きさは変えないが、方向を変える。ゆえ
に、電子は一定の速さの円運動をし、電子のサイクロン運動という。
電子の質量m、半径rで円運動する電子の運動方程式は、 となる。
ゆえに、rは
・・・[1]
電子を電位差 V の電極間で加速すると、エネルギーの関係から、電子の速さ v は、
・・・[2]
式[1]、[2]より、電子の比電荷は、
・・・[3]
平行磁場を作るのに、ヘルムホルツ・コイルを用い、コイルの巻数をn、コイル半径
を a...