紅白梅図屏風に秘められた光琳の心

閲覧数2,910
ダウンロード数18
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    紅白梅図屏風は、尾形光琳の最晩年期に製作されたものであり、光琳の最高傑作とも言われている。左側に白梅、右側に紅梅を描き、中央に川の流れを配した二曲一双の屏風図で、二曲一双の金地を背景に老成した梅樹が描かれている。また、型紙を使って描いたかのような水の流れの模様は、光琳の工芸家としの要素が現れていると思う。光琳は、豊臣家の御用商人として染織物を納める豪商の家に生まれたため、その時代の最高級の衣裳や紋様帳に生まれながらにして親しめる環境があったのだ。そういった背景や彼の技術が、この重厚なリズム感や緊張感、さらに洒落た装飾性をも作り出したのだと思う。
     この絵は日本史の資料集などで何度もお目にかかってきたので、私にとってとても馴染み深い作品である。また、絵の大部分に貼られた目映いばかりの金箔から、何か祝儀的なものを感じていた。ところが、先日NHKで放送された「光琳・解き明かされた国宝の謎」と言う番組を見て、私は身震いしてしまった。何とその金箔の地と考えていた部分には、金は殆ど使われていなかったと言うのである。子供の頃から見慣れた「紅白梅図屏風」の写真などには、紛れも無く金箔を押した四角い痕が残っており、おそらくこれを見た人すべてがそう思っていたのではないだろうか。NHKの番組によると、これらは金粉を「にかわ」でといた金泥のようなものを塗ったらしい。しかし、それを金色に見せるためには金泥だけでは不可能なので、下地に黄色の染料などを施す工夫もしたようだ。そして、金箔と金箔が僅かに重なり合う微妙な状態を表現するために、筆を用いて、絶妙に画き上げていると言うのである。金泥より金箔の方が経費も手間もかからず、均質な金地が作れるという指摘もある。なぜ光琳は、技法を駆使してこんなことをしたのだろうか。謎は深まるばかりである。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    紅白梅図屏風に秘められた光琳の心
    紅白梅図屏風は、尾形光琳の最晩年期に製作されたものであり、光琳の最高傑作とも言われている。左側に白梅、右側に紅梅を描き、中央に川の流れを配した二曲一双の屏風図で、二曲一双の金地を背景に老成した梅樹が描かれている。また、型紙を使って描いたかのような水の流れの模様は、光琳の工芸家としの要素が現れていると思う。光琳は、豊臣家の御用商人として染織物を納める豪商の家に生まれたため、その時代の最高級の衣裳や紋様帳に生まれながらにして親しめる環境があったのだ。そういった背景や彼の技術が、この重厚なリズム感や緊張感、さらに洒落た装飾性をも作り出したのだと思う。
    この絵は日本史の資料集などで何度もお目にかかってきたので、私にとってとても馴染み深い作品である。また、絵の大部分に貼られた目映いばかりの金箔から、何か祝儀的なものを感じていた。ところが、先日NHKで放送された「光琳・解き明かされた国宝の謎」と言う番組を見て、私は身震いしてしまった。何とその金箔の地と考えていた部分には、金は殆ど使われていなかったと言うのである。子供の頃から見慣れた「紅白梅図屏風」の写真などには、...

    コメント2件

    genuine 購入
    ちょっと高すぎます。。
    2006/06/30 16:31 (18年5ヶ月前)

    katoru 購入
    まぁ
    2007/07/21 2:19 (17年4ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。