日本の典型的な雇用慣行は、長期雇用、年功賃金等が主な特徴とされていた。年功序列型賃金とは勤続年数や年齢などの要素によって決められる賃金である。この賃金体系には退職金同様賃金支払い先送りの意味があり、同一企業への就業年数が短い者には想定される限界生産力より少なく、就業年数が長い者には想定される限界生産力より多く賃金を設定することによって、雇用者に対して長期に従業するインセンティブを与えようとする制度と理解されている。すなわち、若い時代においては安い賃金で、長く勤めることによってその賃金水準が上がり、歳をとることで高い賃金が貰える。一方でそういったシステムは、高齢雇用者の人件費負担の増大を生み、早期の定年退職制の導入を必要とした。賃金上昇率は、新規就職者数が多い世代や不況時に就職した世代の賃金上昇率はおおむね低い傾向にあり、入職後の経済状況の違いを取り除いた世代別の賃金プロファイルをみると、世代間の変化は小さく、年功賃金の変化には経済成長の鈍化も大きく影響していると考えられる。賃金上昇率が低下する中で従業員の高齢化・高学歴化による賃金上昇効果の占める割合が高くなっており、人件費負担に大きな...