「児童の権利に関する条約制定の背景と意義について述べよ」
1、子供権利保障の歩み
成人の多くの権利やいわゆる人権は、歴史上深刻な闘争を通して獲得されてきた。しかし、児童の権利は子供たち自身が勝ち得たものではない。その理由として、子ども期には2つの特徴があることを理解しなければならない。第1に、子供は非主張者としての特徴をもつ。少年時期にあるほど、自らの意図を主張する手段に乏しく、例え主張することができる年齢や発育段階になっても、その影響力は非常に限られている。第2に、子供は非生産者としての特徴をもつ。子供は将来の生産力として、その社会を担うことが期待されている存在ではあるが、まだ自立からは遠く、保護を必要とする時期、つまりは生産よりも消費が主となる時期であり、他者に依存せざるを得ない。
歴史的にみると、このような子供の特徴を成人側が理解し、認識し、この特徴の故に子供が弱者として止まらざるを得ない背景が考慮される過程のなかで、成人の側で子どもの権利を尊重する思想、つまりは、子供を成人と同じく1人の人間として尊重する思想がみられるようになった。子供の権利は、ある限られた大人たちによる子ども...