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略題 教育理論・教育思想・メタ教育理論
著者の考えによると、「教育理論」とは教育における問題が何であるのかを分析し、その問題の個別の要素を研究する学問である。その研究の成果は、普遍的、科学的な知識体系として集積されることになる。一方で「教育思想」とは、時代や環境に対応した価値観や感情に合わせて、「どう教育するのがよいか」という問いへの直接的な答えである。個々の教育問題に対して、教育の実践の場でどのような行動をとるべきであるかの指針となることを意図して構成された、知識の体系とも言うことができる。教育実践において具体的な指令を発するために、科学の知識である教育理論と、実践を方向付ける原理や原則を必要とする。
「教育理論」においては、「AならばBである」のように真偽の判断が可能な命題の形をとることが重要視される。ただしこれらの個々の命題は常に暫定的な理論であり、日々の教育実践と実験の場において検証され、修正されることとなる。
ソクラテスとメノンの対話の中にある想起説の実証は、現在の視点から考えると宗教的な考え方に基づいた理論も多く科学的であるとは言えない部分が多い。しかし、不可知...