法医学(
Legal medicine
)とは,「医学的解明,助言を必要とする法律上の案件,事項
について,科学的で公正な医学的判断をくだすことによって,個人の基本的人権の擁護,
社会の安全,福祉の維持に寄与することを目的とする医学」の事である.殺人・障害致
死・業務上過失致死に関わる刑事法医学とともに,近年,損害賠償・親子鑑定に関わる民
事法医学(賠償科学)も重要になってきている.
人が死亡した場合,死亡を診断した医師(歯科医師)により死亡診断書,あるいは死体
を検案した医師に死体検案書を書いてもらう必要がある.前者後者の区別は,診断中の疾
病による死亡であるか否かによる.死産の場合,死
法医学(Legal medicine)とは,「医学的解明,助言を必要とする法律上の案件,事項
について,科学的で公正な医学的判断をくだすことによって,個人の基本的人権の擁護,
社会の安全,福祉の維持に寄与することを目的とする医学」の事である.殺人・障害致
死・業務上過失致死に関わる刑事法医学とともに,近年,損害賠償・親子鑑定に関わる民
事法医学(賠償科学)も重要になってきている.
人が死亡した場合,死亡を診断した医師(歯科医師)により死亡診断書,あるいは死体
を検案した医師に死体検案書を書いてもらう必要がある.前者後者の区別は,診断中の疾
病による死亡であるか否かによる.死産の場合,死産証書,死胎検案書が書かれる.人の
死の定義には三徴候が用いられ,その定義は,心臓拍動の停止,呼吸の停止,瞳孔散大で
ある.死産の場合,心臓拍動,随意運動,呼吸のいずれをも認めないという事実が用いら
れる.このように,一般的には三徴候を根拠とするものが死であるが,脳死が個体死であ
るという考え方も一般に認知されてきている.脳死とは大脳・小脳・脳幹すべての死であ
り,人工呼吸器を外した場合に確実に死亡する状...