イェーナ初期のヘーゲルの思想的模索―弁証法思惟の形成期

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    イェーナ初期のヘーゲルの思想的模索―弁証法思惟の形成期
    0.序
     ドイツ観念論を代表する思想家であり「弁証法」で広く知られるヘーゲルは、1801年から1807年までをドイツのイェーナで過ごした。このイェーナ期は、ヘーゲル哲学の形成過程において決定的な意義を持つといわれている。
    彼は学生時代にフランス革命の思想の影響を強く受け、その問題意識を高め、その後初めて教壇に立つイェーナ大学において思索的営為を深めていった。彼の主著である『精神現象学』や『論理学』につながる哲学的体系の模索・形成過程としてイェーナ時代を捉えることができるだろう。
    以下では、1801年から同4年までを「イェーナ初期」と分類した上で、この時期におけるヘーゲルの思想的模索について概観していきたい。「イェーナ初期」において、ヘーゲルは後の哲学的体系を支える根幹となる諸概念の獲得の模索を行っていたといえるだろう。その際特に、シェリングとの交流や後の「弁証法」の発想につながる「自己否定」や「懐疑」の契機、また関連して『差異』論文に着目していきたいと思う。
    1.シェリングとの交流
     「イェーナ初期」におけるヘーゲルの思索の発展を...

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